プランのご案内
  • NOTES

    UP

    ドラムが叩ける!お宅訪問[Webオリジナル番外編]#7 埼玉県在住 鈴木秀典さん 宅スタジオ<前編>

    元の建物の土間を取り去って
    より高い天井高を実現

    スタジオがあるのは、東武東上線北坂戸駅から徒歩10分強の場所。鉄骨造3階建ての物件を全面改装し、以前は店舗として使われていた1階をスタジオと関連設備にしている。

    「スタジオを作ると決めたときから、レコーディングから配信ライヴまで全部できるようにしたかったので、天井は高くしたいと思っていました。最初は2階まで吹き抜けにしたらどうかと考えたんですけど、“建物が壊れますよ”とすぐ却下されて(笑)。それで、建物全体の設計/施工をお願いした光都市綜合設計さんに検討してもらい、床をかなり下げることで高い天井を実現しました」

    住宅の中にスタジオを作る場合も、居住スペースよりスタジオの床を下げて天井高を確保することが多いのはこの連載で何度も紹介しているとおり。しかしここでは、元の店舗にあったコンクリートの土間を取り去り、建物の構造に影響のない範囲内で基礎を壊さずに掘り下げることで、より大きな下げ幅を得ている。

    さらに別の角度から。左の鉄製防音ドアがスタジオの出入り口で、かなり大きく床を下げていることが見てとれる。動画撮影や配信ライヴを想定して照明機材も充実。記事タイトル部分の写真は、同じ構図で天井のライトを消して照明効果を際立たせた状態だ。

    このスタジオにはコントロール・ルームと収納スペースがあり、出入り口を含めるとドアが3つ。床を大きく下げているため、それらすべてに階段が付く。住宅のスタジオで見かけるものより大型で数も多いが、プライベートではなく商用スタジオであるため、天井高の確保を優先。その結果、大きめのスピーカーやたくさんの照明機材を吊るすことができ、そして何より音響特性の向上に寄与している。

    天井には吸音材のほか、複数のバトンを取り付けて照明機材をセット。スピーカーはバトンではなく天井から直接吊るされている。
    スタジオ奥に設けられた収納スペース。元の建物でも物置として使われており、ここまでスタジオを広げる案も検討されたが、木造で増築された空間だったため、屋外への遮音性を考慮して現在の形になった。ドアが防音仕様なのもそのためだ。左上のエアコンにはルーバーが取りつけられ、レコーディング時に生じるマイクの“吹かれ”を防いでいる。

    施主である鈴木さんと、建物の担当業者、そしてアコースティックエンジニアリングそれぞれが発想とノウハウを持ち寄って生まれたcreative space Join。次回の記事では、まだまだ紹介しきれなかったスタジオの特徴を見ていくことにする。

    「本格的なオープンはこれからですが、たくさんの人に使っていただきたいです。ドラム・マガジン・コンテストの応募用動画をここで撮影してもらうのもいいですね。来年はぜひお願いします!(笑)」

    スタジオ平面図と遮音性能。Boothと書かれたメイン・ルームのほか、レコーディング機材が置かれたコントロール・ルーム(右上)と収納スペース(左上)をレイアウト。これらの配置や、壁の形状に関する工夫は【後編】で紹介する。

    Profile●高校の同級生と結成したトリオ・バンドで、TV番組「ロックおもしろっく」のアマチュアバンド対決コーナーに出演してグランプリを受賞、ヤマハEastWestコンテストで入賞を果たし、ZEROというバンド名でデビュー。アルバム『ARE YOU READY?』をリリースした。その後、本文で触れた通り鈴木さんは音楽から離れ、ギタリストとベーシストはプロ・ミュージシャンとして活動。creative space Joinは、年内のグランドオープンに向けて準備を進めている。

    <creative space Join>
    〒350-0229
    埼玉県坂戸市薬師町29-9
    HP:http://c-space-join.com
    お問い合わせ:office@c-space-join.com

    アコースティックエンジニアリングとは?

    株式会社アコースティックエンジニアリングは、音楽家・音楽制作者のための防音・音響設計コンサルティングおよび防音工事を行う建築設計事務所。1978年に創業して以来、一貫して「For Your Better Music Life」という理念のもと、音楽家および音楽を愛する人達へより良い音響空間を共に創り続け、携わった物件の数は2,000件を超えている。現在も時代の要請に答えながら、コスト・パフォーマンスとデザイン性に優れ、「遮音性能」、「室内音響」、「空調設備」、「電源環境」、「居住性」というスタジオの性能を兼ね備えた、新しいスタイルのスタジオを提案し続けている。

    株式会社アコースティックエンジニアリング
    【問い合わせ】
    TEL:03-3239-1871
    Mail:info@acoustic-eng.co.jp
    住所:東京都千代田区九段北2-3-6九段北二丁目ビル
    HP:https://www.acoustic-eng.co.jp/pro/

    過去のドラマガWebでの連載はこちら

    ↓デジマート・マガジンの連載ページはこちら