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【R.I.P.】80年代を彩ったC-C-Bのドラム・ヴォーカル、笠 浩二急逝

  • Text:Shinichi Takeuchi

C-C-Bのドラマー&シンガーとして1980年代を席巻した笠 浩二氏が12月14日に脳梗塞のため死去していたことが発表された。享年60歳。

1962年11月8日生まれ、福岡県出身の笠氏は、中学校に進学し、ブラスバンド部の演奏を見て、そのドラムに興味を持ち、入部。さまざまな楽器と並行する形でドラムも演奏するようになったという。中学3年からはバンド活動をスタートし、高校時代には、後にC-C-Bで活動を共にする渡辺英樹氏と田口智治ともバンドを組んでいる。

1982年、和製ビーチ・ボーイズをコンセプトに結成されたCoconut Boysに参加。翌83年に「Candy」でメジャー・デビューを飾り、85年にはバンド名をC-C-Bに改名し、3rdシングル「Romanticが止まらない」がオリコン2位を記録する大ヒットに。

この曲は筒美京平の作曲によるもので、メイン・ヴォーカルは笠氏が担当。本来はC-C-Bはベースの渡辺英樹と、ギターの関口誠人がメインで歌うことが多かったが、筒美氏が笠氏のハイトーン・ヴォイスを気に入り、彼が抜擢された。本人は突然のことで驚き、レコーディングでは緊張が止まらなかったと回述している。

笠氏と言えば、シモンズの電子ドラムを使い、歌いながら叩くスタイルでお馴染みだが、筒美氏は彼がドラマーだということは知らなかったそう。結局、ライヴやテレビ出演などでは、歌いながらドラムを叩くことになったが、筒美氏の抜擢がなければ、そのスタイルは生まれておらず、いわば偶然の産物が、笠氏のトレードマークとなった。また、シモンズは林 立夫が演奏している姿を見て憧れ、使用するようになったと言われている。

以降、「スクールガール」、「Lucky Chanceをもう一度」などヒット曲を連発。テレビで見かけない日はないというほど、お茶の間の人気を獲得。ピンク色の派手なヘア・スタイルに、ピンクのメガネ、そして明るく朗らかなキャラクターの笠氏も日本中から愛される存在となった。

しかしながら89年にC-C-Bは解散。笠氏は、シングル「30cmでつかまえて」でソロへと転身をはかる。音楽活動に加えて、テレビ、ラジオへの出演などタレントとしても活躍。体調を崩し、活動を休止している時期もあったが、2015年には解散以来26年ぶりに、解散時のメンバー4人でC-C-Bとしてライヴを開催。全国ツアーも予定されていたが、直前で渡辺氏が急逝。結局、再結成ツアーは幻のものとなってしまった。

2021年に米川と共にC-C-Bとして演奏したライヴ映像

近年は拠点を熊本に移し、マイペースで音楽活動を続けていた笠氏。2022年に入り、夏には渡辺氏のトリビュート・ライヴに出演。しかしながら、車椅子での登場となり、その体調が心配されたが、後に静養する旨を公表。11月8日には還暦を迎えたものの、12月14日、脳梗塞のため帰らぬ人となってしまった。

C-C-B時代、華やかなルックスで高らかに歌いながらドラムを演奏する笠氏は、老若男女を問わず愛される存在だった。そんな氏の姿を見てドラムに興味を持った人も多く、ドラムの普及に貢献した存在の1人と言えるだろう。謹んでご冥福をお祈りしたい。