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試奏レポート【KOIDE CYMBALS】“Cadence” Series Cymbals
- Review:Takuya Yamamoto Photo:Takashi Yashima
Hihat(14″ Heavy/14″ Medium/14″ Thin)
鋭くクリスピーなThin+Medium
パワーの中に美しさを求めるならMedium+Heavy
今回は1枚ずつ用意された、3つのウェイトの3枚で試奏しました。
この3枚におけるスタンダードだと思われる、Thinをトップ、Mediumをボトムとした組み合わせは、鋭いアタックと素早いディケイによるクリスピーなツブ立ち、開き具合いに連動して自然に変化するトーン、シリーズで一貫した成分とボリュームのバランスということで、文句のないペアです。
トップをMedium、ボトムをHeavyとした重量級の組み合わせは、圧倒的なパワーを感じます。クリアでダークという個性を持ったまま、容赦なく鳴ってくれるので、パワーが必要な音楽でも楽器の美味しい響きを感じたいというドラマーにお勧めできそうです。1枚ずつであるということもポイントで、シリーズを跨いで、自分の理想を実現するためのピースとしても高い価値があると思います。
SPEC & PRICE
※重量はすべて編集部による実測値
18″ China
ダークさに王道なサウンドを包含
クリアさはライドやクラッシュと共通
新鮮な印象のライド、クラッシュに比べると、オーセンティックなチャイナ・サウンドです。とはいえ、高域の成分の出方に一貫性があるので、シリーズを統一する上での問題はまったくありません。
高域由来のクリアさは共通していて、ダークと呼ばれる性質の中に、王道のチャイナらしい鳴り方が含まれている、といえば良いのでしょうか。この緩やかなトーンの個性と共に、他の楽器との混ざりの良さを感じるので、手持ちのセットに合わせるチャイナを選ぶ際の選択肢としても可能性を感じます。音量も自然で、とても扱いやすいと思います。
Splash(8″&10″)
キャリアを感じる完璧なマッチング
2枚同時買いを強く推奨したいモデル
シンプルにサイズ違いの2種類というラインナップです。
2枚並べて叩いてみると、これはシンバル・メーカーとしてのキャリアを感じるなあと唸ってしまう、完璧なマッチングです。いずれもかなり薄めの仕上がりですが、10″がかなり低めにチューニングされている印象です。
それぞれのパワーや音程差と、他のシンバルと一緒に使う上での条件などが計算し尽くされていて、必要なニュアンスに合わせてどちらか1枚を選択するもよし、2枚を組み込んでシンバル・サウンドによる彩りの意味を知るもよし、2枚同時買いを強く推奨したいですね。
SPEC & PRICE
※重量はすべて編集部による実測値
総評
808シリーズと同素材ながら
ハンマリング法を変えることで新たな方向性
技術で製品の可能性を広げる頼もしさを感じる
国産メーカーとして進化を続ける小出シンバルの最新シリーズということで、これまでの文脈の匂いを感じさせつつも、歴史と音楽の動向の流れを汲んだ、新たな方向性を見せていただきました。
808シリーズと同じ材を用いながら、弱い力で深く施すハンマリングを採用するという、技術で製品の可能性を広げ続ける姿勢には、我々演奏者のパートナーである、楽器を生み出してくれるメーカーとして頼もしさを感じます。
個人的にも、この組み合わせで演奏してみたいなと思えるセットが組める、充分すぎるラインナップですが、より多くのユーザーが支持することで、サイズやウェイトのバリエーションが増えるかもしれません。気に入った楽器どんどん使って、自分自身はもちろん、シリーズもメーカーも、一緒に成長してゆくような関係が築けるといいですね。
お問い合わせ:コマキ通商(☎03-3626-2111)