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試奏レポート【ISTANBUL MEHMET】Tony Williams Tribute
- Photo:Takashi Yashima Review:Yusuke Nagano
Review
※重量はすべて編集部よる実測値。価格はすべて税込です。
適度に抑えられた上品な高音
クリアでヌケも良くトニーのようなプレイをしたくなる
15″ HiHats
トップが1,160gでボトムが1,430gの組み合わせのハイハット。エッジを刻む音色は、15″らしい太くて重心の低い成分が醸し出す落ち着きと、温かみのある上品な高音域の成分がうまくブレンドされています。ボウをチップで叩くサウンドもクリスピーでツブ立ちが明確。
ハーフ・オープンでハードに暴れるように叩いても、耳障りな成分が強調されないのも魅力で、オープンのアクセントをクラッシュのように激しく使う、トニーのようなプレイを試したくなります。フット・ハイハットの厚みのある力強い音も実に心地良く、オールド・シンバルの味つけの中で、パワーと深みをうまく両立させたモデルと言えるでしょう。
16″ Crash
920gとやや軽めのウェイトで、カップが大きめでボウのカーブが比較的緩いのも特徴的。
レスポンスは抜群に良く、叩く強さによってキャラクターが多彩に変化します。ソフトに叩くと透明感と深みを併せ持った上品な音色が得られ、ハード・ヒットすると太い芯が塊のように感じられる、コシの効いたアクセントが得られます。高域が適度に押さえられていて、サステインも短めに収束するので、輪郭が非常に明確で、音量のあるアンサンブルの中でもしっかりとヌケてくれると思います。
22″ Jazz-Rock Ride
マイルス・デイヴィスとの活動後に結成した自身のバンド、ライフタイムでは、ロック色の強いパワフルなサウンドを打ち出していましたが、その頃をイメージしているのでしょうか。ウェイトは2,590gとやや重めですが、手にした瞬間にそれを実感できます。
ボウをレガートする音色は、ピング音が明瞭で太くてコシがあります。ピッチが高めで、トルコ系シンバルの中では比較的明るい部類だと思いますが、硬すぎず、特有の粘りが感じられるタッチも気持ち良いです。倍音は深く複雑な響きでありながら、荒くパワフルに叩いても暴れすぎることがなく、しっかりとツブ立ちが伝わってくるバランスも素晴らしいです。大きなサイズのカップの音も、クリアでヌケ良いサウンド。その名の通り、音量のあるアンサンブルでもしっかりと主張が感じられる排気量の大きなシンバルで、ディープな倍音に包まれながら力強く刻むビートは抜群の気持ち良さです。
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