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ザッパのボックス・セットでトンプソン&ハンフリー、ボジオの名演が蘇る!
- Text:Shinichi Takeuchi
鬼才=フランク・ザッパが1974年と1976年に遺したライヴ音源をまとめたCD6枚組ボックス・セット『ザッパ/エリー』が6月17日にリリースされる。
これは、74~76年にアメリカ・ペンシルベニア州エリー周辺で行われた3公演に、同時期のライヴ音源を加えたもの。3公演はいずれも異なるメンバーでの演奏となっている。計7時間にのぼる音源は、初出のものがほとんどで、ライヴ・アルバム『10年目のマザーズ=ロキシー・ライヴ / ロキシー&エルスウェア』に収録された10分ほどが重複するのみ。ザッパの作品を数多く手がけたエンジニア、クレイグ・パーカー・アダムスがマスタリングを施し、求め得る最高の音質を追求したという。
ディスク1、2には1974年5月8日、ペンシルベニア州エディンボロのエディンボロ・ステート・カレッジでの演奏を収録。ザッパが率いたザ・マザーズ・オブ・インヴェンションが結成10周年を迎えたことと、アルバム『アポストロフィ (’)』のリリースを記念して行われたライヴで、10名にせまる大編成のバンドで、最新曲からマザーズ時代の楽曲までを披露している。ドラムは、チェスター・トンプソンとラルフ・ハンフリーのツイン・ドラム体制。ライナーノーツによれば「当時の編成では、ラディックのオクタ=プラス・ドラム・セットも大きな役割を担っている。これは当時非常に人気を集めていた大がかりなドラム・セットで、フランクは2組購入していた。そのおかげで、チェスター・トンプソンとラルフ・ハンフリーは新たにさまざまなサイズのタムを叩けるようになった。その新しいサウンドは、ザッパの楽曲に斬新なかたちで組み込まれていた」とのことで、2人がどんなリズムを形成していたのか、大いに注目したい。
ディスク3、4に収録されたのは、1974年11月12日の ペンシルベニア州エリー、ギャノン・オーディトリアムでのライヴ。ここでは6人編成のバンドでの演奏で、ドラムにチェスター・トンプソン、パーカッションでルース・アンダーウッドが参加している。ディスク1 & 2に収録されたライヴから半年あまりで、バンドの形態を大きく変え、異なるアレンジで演奏される名曲の数々が聴きどころだ。加えて、74年5月12日のノートルダム・ユニヴァーシティ公演から2曲がボーナス・トラックとして収録される。
ディスク5、6は、1976年11月12日、エリー・カウンティ・フィールドハウスでの模様が収録される。名作『ズート・アリュアーズ』リリース直後のタイミングで、メンバーはエディ・ジョブソン(key、vln)、パトリック・オハーン(b、vo)、レイ・ホワイト(g、vo) 、テリー・ボジオ(d、vo)、レディ・ビアンカ(key、vo)という顔ぶれ。ビアンカは1ヵ月あまりしか在籍していなかったメンバーで、この音源は貴重な記録といえる。やはり、聴きどころはボジオのドラミング。ドラム・ソロもフィーチャーされており、若くしてすでに卓越したテクニックを持っていた彼が、この日は、どんなプレイを聴かせているのか、期待が高まる。
そしてこちらもボーナス・トラックを収録。翌13日のオハイオ州トレド、スポーツ・アリーナでのライヴから3曲、76年11月10日のケベック州モントリオール、ザ・フォーラム公演から1曲が追加されている。なお、デジタル配信でもリリースされる予定。