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Archive Interview – デヴィッド・ガリバルディ×フランシス“ロッコ”プレスティア [タワー・オブ・パワー]
- Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine(May Issue 2005) Interpretation & Translation:Akira Sakamoto Photo:Eiji Kikuchi Special thanks to Blue Note Tokyo
ファンク×グルーヴの金字塔
Tower Of Power リズム・セクション対談
圧倒的なテクニックと唯一無二の個性で一世を風靡し、2018年に結成50周年を迎えたファンク・バンド=タワー・オブ・パワー。そのリズム・セクションと言えば、デヴィッド・ガリバルディとフランシス・ロッコ・プレスティアによる黄金コンビで、3月に発表されたニュー・アルバム『ステップ・アップ』でもその心地良いグルーヴは健在だ。ここでは最新作のリリースを記念し、本誌2005年5月号に掲載したガリバルディ×ロッコによる超貴重な対談を一部抜粋してお届け。脱退/再加入や病気からの回復を経て、バンドへ復帰した2人が、お互いのプレイや第一印象を語っている。
初めて音を出したとき
運命的なものを感じた
●初めて出会ったときのことは今でも覚えていますか?
デヴィッド・ガリバルディ(以下DG) 僕は覚えているよ。
フランシス・ロッコ・プレスティア(以下FP) 最初に会ったのは、リハーサルか何かのときだったっけ?
DG バンドのみんなと最初に会ったのは、サンフランシスコのキーストン・コーナーという小さなクラブだった。僕はまだバンドに入る前で、彼らのライヴを一度観に来ないかと招待されて行ったんだ。あれは確か、1970年だったね。

キング KKP-1049
●招待されたというのは?
DG 僕はちょうど兵役を終えたばかりで、地元のベイエリアで再び顔を広めるために音楽活動を再開したところだった。そして、僕がよく出演していたオークランドのクラブには、TOPのホーン・セクションのメンバーがいつも遊びに来て、僕らのバンドに飛び入りしていた。それで、あるとき、バンドのドラマーを代えようと思っているんだけれど、君も一度ライヴを観に来ないかと彼らに言われて、キーストン・コーナーへ出かけていったというわけ。彼らの演奏を聴いた瞬間、僕はTOPに惚れ込んじゃったよ。
●惚れ込んだのはTOP全体の演奏でしたか、それとも、これからリズム・セクションを組むことになるベース・プレイヤーの演奏でしたか?
DG 今でもよく覚えているのは、バンドのサウンドを特徴づけていたのがベースだったということなんだ。TOPは他のどのバンドとも違う個性的なサウンドを持っていて、ロッコのベースがそのための重要な役割を果たしていた。彼はまだ18歳、僕は23歳だった。それはともかく、TOPは、聴けばすぐにそれとわかるような個性を持っていたんだ。
●あなたは初めて一緒に演奏したときのことを覚えていますか?
FP 一緒に音を出した瞬間に息がぴったり合ったのは覚えているよ。彼は僕の演奏が個性的だったと言ってくれたけれど、彼のやり方と僕のやり方との相乗効果で、僕の演奏スタイルがより明確になったんだ。
タワー・オブ・パワーには
独特のリズム話法がある
●あなたが細かい16分音符を叩いているときにも、聴き手は気持ちの良い4分音符のグルーヴを感じますが、ご自身では回転するような4分音符のグルーヴを意識していますか? それとも、16分音符を正確に刻むことを意識していますか?
DG 両方だと思う。安定した4分音符の感覚は、音楽に推進力を与える効果を持っているけれど、16分音符のサブディヴィジョンを意識することもまた重要なんだ。僕らの音楽は音数が多くて、個々のメンバーに割り当てられたパートは正確な演奏を要求するからね。新しく入ったメンバーは、演奏がどんなにうまい人でも、まずは16分音符に対する僕らの解釈に慣れる必要がある。つまり、グルーヴの空間のどこに16分音符を置くかということ。僕らの16分音符はジャストよりもほんの少し突っ込み気味のところにくるんだ。そうすることで、音楽に進行感が生まれるからね。特にホーン・プレイヤーは、僕らのやり方に慣れるまで時間がかかるんだ。音符は短いし、すべての音を正確に鳴らさなきゃならないしね。難度の高い演奏というのは、僕らの音楽にとってとても大切なことなんだ。
●TOPのように大きな編成のバンドでは、正確に演奏しないとサウンドも濁ってしまいますしね。
DG その通り。
FP そこに僕らの音楽の素晴らしさがあるんだ。お互いの邪魔にならずに、濁りのないサウンドを創り出すっていうところにね。

●曲のアレンジには、あなた方の意見も反映されていますか?
DG いつも意見を言ってるよ。それが採用されることもあれば、そうでないこともあるけれどね(笑)。
FP その意味では、このバンドのメンバーは全員が対等なんだ。みんなの意見が反映される。だから、聴き手が最終的に耳にする演奏は、アレンジも曲のコンセプトも全員で創り上げたものだと言えると思うよ。