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Archive Interview – ジェフ・ポーカロ

  • Interview:Shinobu Tanno Photo:Rob Verhorst/Getty Images

自分が良いと思ったらそれが自分のサウンドなんだ
バーンと叩いてしまえばいい
それを良い音でレコーディングするのはエンジニアの仕事だ

●ドラム・セットについてですが、スタジオでも同じセット、同じシンバルを使っていますか?

ジェフ 基本的にはね。

●エンジニアによるドラム・サウンドの違いは大きいですか? 今までロジャー・ニコルス、アル・シュミット、グレッグ・ラダニー、その他多くの優秀で個性のあるエンジニアと仕事をしてきてどう思いましたか?

ジェフ 確かにそれはある。それに音楽によってもエンジニアが作る音が変わるし、私のプレイも変わる。しかし大部分は、私のドラムの音がそのまま出ていると言っていい。叩き方と使ってるセット次第で決まる音だ。セットは35組くらい持ってて、スタジオに持ち込むのは4組くらい。セッションや音楽に合わせて選び、チューニングしていく。それこそセッションの感じに合わせて、服も着替えるとか、そういう感じだね。

●タムをミュートせずに、あのタイトさを保つ秘訣は何ですか?

ジェフ それもレコーディング・テクニックに負うところが大きいね。これも多くのドラマーに聞かれる質問なんだが、スタジオでドラムの音決めに何時間も費やしていたら、やる気をなくしてしまうだろう。自分が良いと思ったらそれが自分のサウンドなんだ。バーンと叩いてしまえばいい。それを良い音でレコーディングするのはエンジニアの仕事だ。エンジニアに良い音を録らせるのはドラマーの仕事ではないんだ。エンジニアはドラマーの音をそのまま録音するのが仕事なんだ。ドラムの音が悪いのはドラマーの責任だ。ただ音の良し悪しの判断基準は人によって違うけどね。

 私のドラムについて言えば、非常にオープンになっている。タムはダブル・ヘッドでとてもオープンにしておくのが私の好みだ。エンジニアはタムごとにマイクを近くセットして録るが、もちろんスネアを叩けばタムも鳴るし、タムを叩けばスネアも鳴る。そこでベストなレコーディングというのは、昔ながらの方法なんだ。ルーム・マイクで全体を拾う、音楽本来の姿に沿ったものだね。もちろんタムが鳴り出したり、いろいろあるだろうが、どうせギターや何やらガンガン鳴っているところで、タムが少々鳴ったってわかりはしないさ。そういうものだろう。あとはエンジニアの仕事だ。私がスネアに何も細工をしなければすごくブライトな音になるし、時には1/4テープの編集に使うカミソリをスネアの側にガムテープで貼りつけることもある。こうすると、スネアを叩くとカミソリは浮き上がり、また表面に落ちてきてミュートの役目を果たすんだ。こういう細工をすることもあるが、ヘッドにテープを貼ったりすることはない。

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●(ここで側にやってきたマイク・ポーカロにも尋ねてみた)……バスドラのパターンとベースのリズム・パターンではどちらが優先されますか?

マイク 基本的にはベース・プレイヤーがバスドラのパターンを追うんだ。だけど曲が特定のベース・ラインに基づいて書かれているときは、もちろんベース・ラインが優先される。

ジェフ ある曲の決まったリズムを2人でキープして、ずっとそのままだったらつまらないだろう。だからキープしているリズムの合間にベースがオカズを入れたり、バスドラのパターンをちょっと変えたりするんだ。ここで重要なのは、オカズまでぴったり合わせるとクドくなってしまうから、お互いに十分な空間を残すことだよ。それで基本的なリズムはキチッとキープされるんだ。

●ではあなたに憧れて努力を続けている若いドラマーにアドバイスをお願いします。

ジェフ いいとも。私にも子供の頃に何人か憧れのドラマーがいたからね。たった1人じゃなく。そこで第一にいろいろな人を聴くこと。そして練習すること。ただ練習するんじゃなく、いろんなスタイルから学ぶこと。昔、ロック・バンドでみんなを感心させたことがあったけど、それはエルヴィン・ジョーンズのフレーズを盗んでやってみただけのことだった。ただ、オリジナルとは全然違う状況で応用したから、ひどく新しいものに聴こえたわけだ。というわけで、いろいろな人と組んで、いろいろな音楽をやってほしい。

●レコードに合わせて練習するだけでなく、やはりバンドでやってみることが大事ですか?

ジェフ そうだね。レコードだけじゃ、ひどいミュージシャンが集まったバンドでの経験ができないから。若い頃やっていたバンドは、タイム感がまったくない連中の集まりだったりしたんだ。幸いにも全体的な雰囲気は悪くなかったんで、私はとにかくリズム・キープに専念したものだ。そういうふうに良いミュージシャン、悪いミュージシャンの両方を経験することが役に立つんだ。プレイすればするほど、成長していくはずだ。私もかつてはみんなの真似をした。15歳頃まで、あらゆる人の真似をして、それを身につけて行ったんだ。バーナード・パーディがアレサ・フランクリンについてやっているところ、ジム・ケルトナーがマッド・ドッグス&イングリッシュメンでやっているところ、ビートルズをやっているリンゴ・スター……それで次の日ハイ・スクールのバンドでギグに行き、そのバーナード・パーディのフレーズを全然違う曲でやってみると、みんな“わぁ、すごい”って言う。そのうち少しパターンを変えたりするようになり、やがては自分の頭と、神経と筋肉が結びついて新しいことが自然にできるようになるんだ。私のプレイはオリジナルだと言われるが、そうではないんだ。今までにあった物を自分なりに取り入れているだけのことだ。ベース・プレイヤーからヒントを得ることもあるし、レゲエ、インド音楽……ありとあらゆる音楽を聴いているよ。

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